記事内容
テレワークとは
近年の企業経営においては「働き方改革」への取り組みを避けて通れません。そして、働き方改革を実現する手段の1つとして「テレワーク」の導入を国が推進していることから、至るところでテレワークが取り上げられています。
そもそもテレワークとは何でしょうか。言葉を見ると「テレ(Tele)= 離れたところで」と「ワーク(Work)= 働く」が組み合わされています。つまり「(会社から)離れた(場所で)働く」という意味を持ちます。厚生労働省による「テレワークの定義」を確認しておきましょう。
「ICT(情報通信技術)を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」
「勤務場所」と「勤務時間」が固定された従来の働き方と比較して、テレワークはICT(情報通信技術)を活用することで働く場所と時間を柔軟に選べるようにした働き方ということになります。こうした柔軟な働き方は働き方の質を高めるとされ、会社全体の働き方を改革するための施策の1つとして期待されています。
テレワークの形態
それではテレワークについて見て行きましょう。テレワークの実施形態は、対象者・場所(雇用型/自営型/内職副業型)、導入の意図(BPRモデル/CSRモデル)、頻度(常時/随時)のように分類することができます。
今回は企業視点ということで、雇用型テレワークを対象として取り扱います。テレワークの形態については下図をご覧ください。
テレワークは「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務(施設利用型勤務)」の3つのテレワークの形態の総称となります。
何れの形態においても、ICT(情報通信技術)を活用して場所は違っていても所属オフィスに居るように働けるのがテレワークです。図を少し補足します。
[1]在宅勤務
所属オフィスに出勤しないで自宅を就業場所とする働き方です。企画・人事・総務等、主に決まった勤務場所(所属オフィス等)で業務を行う職種に向いた形態です。また、育児・介護期にある従業員のキャリア継続や、障がい等により通勤が困難な従業員の就労継続にも効果的です。
[2]モバイルワーク
移動中(交通機関の車内等)や顧客先、カフェ等を就業場所とする働き方です。営業職等、所属オフィス外での業務が多い職種にとって特に有用です。移動時間を有効活用できる、顧客先で迅速に対応できる等のメリットがあります。
[3]サテライトオフィス勤務
所属するオフィス以外の他のオフィスや、遠隔勤務用の施設を就業場所とする働き方です。顧客先に近い施設を利用することで迅速な顧客対応を実現でき、従業員の自宅に近い施設を利用することで通勤時間削減を実現でき、遊休施設や空き家を利用することでオフィスコストを抑える等のメリットがあります。
テレワークの効果
続いて、テレワークの効果について見てみましょう。企業にとってのテレワークは、次に挙げるように5つのカテゴリーにおいて、大きな効果・メリットがあるとされています。
- 業務生産性の向上
- 新規雇用・離職防止
- 社員のワーク・ライフ・バランスの実現
- コスト削減
- 事業継続性の確保
なお、各項目の具体的な解説については「テレワーク総合ポータルサイト」内の以下のページでご覧頂けます。
「テレワークの効果・効用」
https://telework.mhlw.go.jp/telework/effect/
(2024/9/6 引用)
テレワークが取り上げられる際は「育児・介護・障がい等により通勤困難な従業員の就労継続に役立つ」といった側面がクローズアップされることが多いように思われます。しかし、それだけではなく「遠隔地の優秀な人材を雇用することができる」「災害時に事業が継続できる」等、多くのメリットをもたらします。
テレワークの課題にテレワークツールで対処
一方でテレワークの課題としては、会社に来ない働き方ゆえにコミュニケーションや労務管理への懸念を示す企業様がまだ多いようです。
また、「大企業では福利厚生の一環として実施できるが、中小企業ではそのような体力は無い」との声もあるようです。
こうした課題に対して、ITツール(テレワークツール)を活用して対処した成功事例も増えて来ているようです。テレワークツールの劇的な進化がテレワークの推進を大きく後押ししています。
こうした、テレワークツールの充実を含めた周辺環境がテレワークの推進を後押しする状況を、図として大まかに整理しましたのでご覧ください。
ICT(情報通信技術)の進展およびテレワークツールの充実によって、テレワーク(=離れた場所で働くこと)は実用レベルで身近な存在になっています。そして、テレワークを更に進化させるであろう「5G」(高速大容量な通信サービス)も開始されました。
「5G」が普及することによって、例えば全国各地(更には世界各地)に居住している従業員が、仮想オフィスで一緒に働く職場環境が容易に実現するかもしれません。そうなると「通勤」という概念すら無くなってしまうかもしれません。まぁ、そこまでの社会環境の変化は少し先かもしれませんが…。
なお、当コラム記事では各種のテレワークツールについての説明まで踏み込みませんが、テレワークに利用されるコミュニケーションツールを使ってみた情報を当サイトの別のコラム記事で扱いました。
中小企業における人材確保の課題解決に効果的
テレワークは従業員のワーク・ライフ・バランスを実現する上で効果的です。そして、そのような魅力ある職場に人材は集まります。
「人材の確保」を大きな課題としている中小企業においては、課題解決策の1つとして大きな効果をもたらすでしょう。
そして、少子高齢化社会に向かって働き方改革に取り組む上では、大企業ばかりでなく中小企業こそ、テレワークを上手く活用して企業の競争力やブランド力を高めることが大きな意味を持つのではないでしょうか。
テレワーク総合ポータルサイトの紹介
最後に、テレワークに関する様々な情報が得られるWebサイトをご紹介します。
テレワークに関する厚生労働省や総務省による施策が整理されており、テレワークの導入、知識の拡大、事例研究、助成金活用を進める上で役立ちます。また、テレワーク導入前後のお悩み相談に応じてくれる「テレワーク相談センター」の情報も得られます。
「テレワーク総合ポータルサイト」
https://telework.mhlw.go.jp
(2024/9/6 引用)
この記事のまとめ
- テレワークはICTを活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方
- ICTの進展、ツールの充実、国の政策がテレワークの推進を後押し
- 中小企業における人材確保の課題解決手段としてテレワークは有効