記事内容
はじめに
『ICTイノベート』はIT利活用の支援を活動テーマとして掲げていますので、コラムでも色んな角度から違ったアプローチで取り上げたいと思います。今回は「経営の中のIT」に着目して、なぜ必要なのかを明らかにすることで今後のコラム記事に繋げる内容にしたいと思います。
今回のコラム記事では、対象としてIT導入および活用について「難しい、手に負えない、カネがかかる」とネガティブな印象をお持ちの方々にフォーカスしています。とは言え(偶然かもしれませんが)IT利活用をテーマとするサイトをご覧になっている方々ですから、IT利活用に関心をお持ちの方々と思われます。
IT利活用によるメリットの整理
そもそもになりますが、業務作業にITを活用することでどのような「良いこと」があるのかを振り返ってみましょう。
- 〇 処理が正確で迅速
- 〇 作業が標準化される
- 〇 情報の伝達が容易
- 〇 情報の再利用が容易
- 〇 情報の一元管理
- 〇 ペーパーレス
ざっとキーワードとして挙げてみました。もう少し具体的にしてみます。多くの情報量を扱ったり繰り返し作業に対処する際にはパーソナルコンピュータ(PC)の利用が欠かせないでしょう。
PCやスマートフォン(スマホ)でメール連絡を行ったりスケジュール管理も行えます。また膨大な情報(データ)をPCや記憶装置に保管すれば一元管理にもなりますし、保管場所も紙保管に比べて圧倒的に省スペースになります。
これらのメリットは経営視点から見るとどのような成果に繋がるのでしょうか。直接的には「業務効率化」や「コスト削減」といった経営基盤の強化に繋がるでしょう。更には整備された経営基盤を持つことにより「新規事業への進出」や「販売チャネルの創出」といった「攻めの経営」へと繋がることが期待されます。
なお、デジタル技術の著しい進化により、効率化だけでなくイノベーションの実現が可能となり、AIやIoT、クラウド、ブロックチェーンなどの技術を活用することで、新たな市場や顧客を開拓できます。こうした環境変化に対応するための経営手法について、別のコラムでご紹介しています。
IT利活用が進まない理由の整理
こうして「良いこと」を並べてみると「ITは経営に欠かせないツール」と捉えるのが自然でしょう。しかし一方では小規模な経営環境ほどIT利活用が進んでいない事例が多いのも事実です。理由として多く挙げられている事柄を整理してみましょう。
- × コストがかかる(資金が足りない)
- × 効果や活用方法が分からない
- × 専門知識が必要
- × 情報漏洩等のリスクへの懸念
- × IT利活用を担える人材の不足
これらを思い切って大きく分類すると「費用」と「知識を持った人材の不足」といった問題点が浮かび上がってきます。この問題点のためにIT利活用に対してネガティブになったり諦めてしまっては勿体ないです。理由を述べて行きましょう。
「費用」の問題点への対策
IT利活用といえば、以前はオーダーメイドのシステム開発や、パッケージ製品購入による利用が主流でしたが、ご存知のように現在ではクラウドサービスが一般的になった下地もあって、インターネット上に様々なサービスが提供されるようになりました。
利用者は自前でシステム機器やソフトウェアを購入することなく、利用環境構築にも余り悩まされることなく、サービスの利用に専念できる環境が整っています。
極論すればインターネットに接続できるPCさえあれば殆どのことができてしまいます。初期コストが格段に下がり手を出し易くなっています。ランニングコストは意識する必要がありますが、自前設備ではない分、有利な後発サービスが登場すれば乗り換えを検討し易いです。
サービス利用型にも功罪はある訳ですがメリットが大きいからこそ発展している現状があります。随分とIT利活用への敷居が下がったと思いませんか。
更にはIT導入に対しては国や自治体による補助金・助成金も整備されてきています。これらを上手く活用することで「費用」問題への対策になります。
「知識を持った人材の不足」の問題点への対策
ITに限りませんが、新しい知識を習得するのは難しいと感じることが多いのではないでしょうか。知識を「知っているレベル」に留まらず「使えるレベル」にまで理解を深めようとすると途端に必要な学習量が膨大になります。ゴールが見えず、それはまるで雲がかかった山頂を麓から見上げているような気分になるのではないでしょうか。
ITの場合、更に難しさを感じるのは常に新しい技術が登場して来ることで過去の知識が直ぐに陳腐化してしまうことでしょう。よって常に情報収集や継続学習が必要になりますが、自分が学習する場合であっても、社内人材を育てようとした場合であっても、非常に時間がかかる話になります。そして現実的には「そんな時間は取れない」という問題に直面しているのではないでしょうか。
必要な知識と技術を持った人材を新たに雇用することができれば効果的な対策になります。ただ、運良く適切な人材に出会えたとしても、人件費の面から見て簡単な選択肢ではないでしょう。
そんな問題に直面した場合には「外部専門家」を利用することをお勧めします。外部人材であれば、自社にとって必要な知識と技術を持った専門家を選び、必要な期間だけ利用することが可能であって効率的です。もし自社にとって何が必要かが分からない場合であっても外部専門家に相談することから道が開ける場合もあります。
現在ではIT利活用のスタイルが「自前設備を持たずにサービス利用型が主流になっている」と先に述べました。自前設備を持たない分、社内にIT人材を抱える必要性は以前より低くなっています。外部にアドバイザーを持つような体制の方が現在のIT利活用のスタイルにマッチしていると言えるのではないでしょうか。
IT利活用の効果は経営成果に結び付かなくてはならない
IT利活用が進まない場合の問題点を「費用」と「人材」の面から分析してみました。少しでもネガティブな印象が薄らいだでしょうか。
また外部専門家については、このような使い勝手の良さだけが存在価値ではありません。ITは利用することが目的ではなく、経営成果に結び付かなくては本末転倒です。外部専門家はその点を常に意識しています。
IT技術の面だけでなく、経営環境の分析を踏まえた上でなくては最適なIT利活用は提案できません。必要であれば業務プロセスの改善を提案したり、経営戦略の策定を支援することもあるでしょう。
加えて、優れたITサービスであることが明らかであったとしても利用者側が「難しくて使えそうもない」、「高額な費用は払えない」と感じるような提案では意味がありません。IT利活用の運用面にも気を配って外部専門家は提案してくれるでしょう。
経営においてITがなぜ必要なのか?の冒頭の問に対しては「経営力を強化し、競争力を高めるため」にITは必要なのです。IT利活用においてはこの本質を見失ってはいけません。そして、外部(IT)専門家はこのような本質に導く存在でなければなりませんし、このような専門家を利用することが目的達成への近道であると提言します。
『ICTイノベート』もこのように本質を踏まえた上で経営規模や組織体力に見合ったIT利活用をお手伝いしたいと考えております。それがどういった内容であるかは、また別の記事で書きたいと思います。
この記事のまとめ
- 業務作業へのIT利活用は経営基盤の強化に繋がる
- IT利活用の障壁となる「費用」と「人材」の問題は対策可能
- IT利活用の効果は経営成果に結び付かなくてはならない