• DXはデジタル技術活用と経営戦略の両輪で推進

  • DXはデジタル技術活用と経営戦略の両輪で推進
  • 公開2022/02/23  更新2022/06/23

  • 企業におけるDX推進では、目指すべき目的の実現に向けて策定した経営戦略に基づいてデジタル技術を活用することが成功への鍵を握ります。

記事内容

昨今では、DX(Digital Transformation / デジタルトランスフォーメーション)が注目を集めており、いたるところで取り上げられています。

「DXとは?」について改めてご説明する必要はないかもしれませんが、さまざまな視点からの多様な解釈が存在することもあり、論点がずれないで共有できるように、当コラム記事におけるDXの位置付けを最初に整理したいと思います。

DXについての整理

DXを直訳すると「デジタルによる変革」になりますね。DXは技術、環境、生活、ビジネス、等々さまざまな領域が対象になります。今回はビジネス領域におけるDXをターゲットとします。そしてDXに対する認識を共有する為に、経済産業省による「DXの定義」を引用します。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

「DX推進ガイドライン Ver. 1.0」
(資料上2ページ 注釈1)
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx_guideline.pdf
(2022/6/23 引用)

DXは最新のIT活用なのか

よくDXの実現に欠かせないデジタル技術要素として、AI、ビッグデータ、クラウド、データ統合が挙げられます(他にもさまざまありますが)。

企業経営において、技術(テクノロジー)を活用して持続的な発展を目指す取り組みは、従来では「IT活用」と称されていました。それでは最新のデジタル技術を活用すればDXになるのでしょうか。

先に引用したDXの定義に照らせば、「それだけではない」ことを分かって頂けると思いますが、解説して行きたいと思います。まず、経済産業省のレポートによる「DXの構造」をご確認ください。

DXの構造(経済産業省「DXレポート2」より)
『DXの構造(経済産業省「DXレポート2」より)』

「DXレポート2 中間取りまとめ(概要)」
(資料上25ページ)
https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-3.pdf
(2022/2/23 引用)

この図は、企業がDXを推進するにあたり、組織の成熟度に合わせて具体的なアクションを設計できるように、DXを3つの異なる段階に分解できることを表しています。なお、これら全てが「DXの定義」の範囲内となります。

一方で、IT(Information Technology / 情報技術)についてですが、情報を活用できる形にすることを指します。ビジネス領域における従来のIT活用と言えば、業務を効率化する目的でコンピュータを用いてシステムを構築する取り組みがイメージされると思います。

これを上図の「DXの構造」に照らすと、主にデジタイゼーションからデジタライゼーションに当てはまると思われます。つまり、従来のIT活用もDX推進の取り組みの一部と言えるでしょう。

しかし、DX推進で最終的に目指すべき段階であるデジタルトランスフォーメーションを実現する為には、従来のIT活用の目的以上に事業やビジネスモデルの変革が必要とされています。

確かに、最新のデジタル技術を活用することで、従来では難しかった組織横断のデジタル化やITシステム化を実現し易くなったと言えるでしょう。ただ、それだけに留まらず、従来の枠にとらわれずに企業文化(固定観念)を変革することを目的としたIT活用が、DXの実現にあたっては重要ということになります。

社会が期待する企業経営の変容

企業経営における根本的な目的は「持続的な発展」の実現であることは間違いないでしょう。しかし、従来のような部分最適を行うITシステムでは目的実現が困難になるだけではなく、却って足かせに成りかねないとの危機感から、DXの取り組みが必要とされています。このような変化は、企業を取り巻く社会環境が変化した影響が大きいでしょう。

近年では企業経営に対してサステナビリティ(持続可能性)が求められています。企業を評価する際に、CSR[1]、ESG[2]、SDGs[3]等の用語で語られることがありますが、これらは異なる視点(企業視点、投資家視点、国際社会視点)からサステナビリティを評価していると言えます。いづれについても「目先の利益だけを追求するのではなく、物事の長期的な影響を考えて行動すること」を求めています。

こうした社会からの期待や要請に対して、事業を通じて応えることができなければ「持続的な発展」の実現は望めません。その為に従来の枠にとらわれず企業文化(固定観念)を変革するDXが必要とされるのです。

ここで見失ってはいけないのは、変革することが目的になってはいけません。サステナビリティを求める社会からの期待に応えることこそが目的とされるべきです。

変化に応じた経営戦略の見直し

企業経営における目的や目標を明確にして組織で共有する為に、企業理念・使命を策定し、経営戦略を策定していることでしょう。下図は経営戦略策定プロセスを簡易的な図で表しています。

経営戦略策定プロセスの概要図
『経営戦略策定プロセスの概要図』

サステナビリティを重視する社会環境の変化や、デジタル技術の著しい進歩と言ったように、企業を取り巻く外部環境は変化しています。目的の実現に向けて経営戦略を見直す取り組みが必要になることもあるでしょう。

このように、経営戦略は策定して終わりではありません。戦略を「展開」して「実行」して結果を「評価」して見直すことを、継続して繰り返すべきなのです。

また、経営戦略によって「企業のあるべき姿」を再構築することは、DXの推進に欠かせないでしょう。

戦略を伴ったデジタル技術の活用

繰り返しになりますが、企業の「持続的な発展」を実現する為の戦略を、デジタル技術を活用することで実行する取り組みがDXと言えるでしょう。

デジタル技術の活用にあたっては、従来は外部のITベンダー等に頼って実現することが殆どだったと思います。しかし、DXは定義にあるように「企業文化(固定観念)を変革して競争上の優位性を確立する」側面があるので、自分達で取り組んで実現する、つまり内製化に向かう傾向にあります。

昨今では、クラウドサービスやノーコード[4]ツールが普及したことで、専門知識をそれ程必要とされずにデジタル技術を利用できる環境が整いつつあります。

自らの戦略を自ら実行する手段としてデジタル技術を「使いこなす」ことができれば、DXは成功に近づき、ひいては企業の「持続的な発展」を実現する結果に繋がるでしょう。

とは言っても、「理屈は分かっても、どう行動したら良いか分からない」場合もあるでしょう。そのような時は外部専門家の利用をご検討ください。

ITコーディネータ(経済産業省推進資格)は、IT経営[5]の実現を支援する専門家です。経営とデジタル技術の専門知識を併せ持つことによる全体最適視点からの適切な支援を、DX推進においても得られるでしょう。

この記事のまとめ

  • DXは最新のデジタル技術を活用することだけではない
  • 企業は事業を通じて持続可能性を求める社会に応える必要がある
  • 戦略を伴ったデジタル技術活用がDX成功の鍵を握る