ICTイノベート
  • FAX受注入力へのOCR活用お試しデモを実践

  • FAX受注入力へのOCR活用お試しデモを実践
  • 公開2019/11/25  更新2023/10/06

  • FAX情報を人手で受注入力する業務課題に向けて、入力作業支援に繋げる目的でお試し的に安価な仕組みでOCR活用デモを実践しました。

記事内容

どのような内容のデモか?

FAX送信された文書に対して、OCR[1]技術を活用して必要な文字を読み取り、テキストデータに変換することでデータ利用を容易にすることを狙ったデモになります。

ただ、手書きのFAX情報を読み取るのは、AI[2]技術を導入しないと実用的な読み取り精度を実現できないこともあり、今回は対象外として別の機会に取り組みます。

デモ動画を用意していますので、まずはご覧ください。想定した業務や環境などは続けてご説明します。

[動画の所要時間 4分39秒(音声なし)]

FAX-OCRアプリによる受注入力デモ

動画の内容(構成)は以下になります。

  1. イントロダクション [0:00-0:10]
  2. FAX-OCRアプリの起動前 [0:11-0:41]
  3. FAX-OCRアプリの操作 [0:42-4:13]
  4. 出力CSVファイルの参照 [4:14-4:32]
  5. クロージング [4:33-4:39]

想定した受注入力作業について

受注処理にEDI[3]を導入されている企業様であれば、受注入力作業は自動化されていると思いますので課題を感じることは少ないかもしれません。しかし、EDIは取引相手も導入している必要があります。EDI導入がなかなか進まない取引相手とは、FAXによるやり取りを無くせない場合も多いのではないでしょうか。

そのような場合には、FAX内容を人手により受注処理の業務アプリに入力し直す作業が発生してしまうでしょう。この人的作業の負荷をIT利活用によって軽減するのが狙いです。

今回はIT利活用が容易な例として、決められた帳票形式で複数の取引先がFAX送信して来るケースを想定しました。下図をご覧ください。

想定した受注入力作業イメージ
『想定した受注入力作業イメージ』

図を少し補足します。オフィス向け複合機ではペーパーレス対応により、受信したFAX情報を紙に印刷しなくてもPDFファイルとして蓄積できて、指定した共有フォルダに保管することが可能なタイプが多くなっています。

今回のデモでは、複合機が共有フォルダにPDFファイルを保管している環境を想定しています。複合機がPDFファイルを作成する際のファイル名は、発信者FAX番号と受信時タイプスタンプにより構成され、重複しないように保管されます。

お試しアプリによるOCR活用で作業負荷を軽減

このような作業環境に対して、安価な機器(シングルボードコンピュータ[4])を追加して人的作業の負荷軽減を実現します。下図のような構成になります。

お試しアプリ導入後の受注入力作業イメージ
『お試しアプリ導入後の受注入力作業イメージ』

この図についても少し補足します。追加したシングルボードコンピュータが一連の処理を行いますが、作業者のPCとシングルボードコンピュータが同じネットワーク(社内LAN等)に接続していれば、作業者は(外部の機器ということを意識することなく)自分のPC上の作業のように操作できます。

ただ、この図を見ただけでは、余計な機器が付け加わっただけのように見えてしまいますよね。そうではなく、作業者のための「お助けツール」であることを分かって頂けると思いますので、冒頭のデモ動画をぜひご覧ください。

デモ動画をご覧になって頂ければ、安価な機器を使用していても処理速度にストレスを感じることはありませんし、テキストを正確に読み取れていることをご確認頂けると思います。データ入力作業の負荷を軽減するのに役立つはずです。

ただ、テキストの読み取りに「完全」はありません。データに対するチェック機能を合わせて用意することで、誤ったテータを登録してしまうリスクを低減することができます。例えば以下のような機能が挙げられます。

  • 日付情報の妥当性および整合性チェック
  • 数量情報の数値チェック
  • 金額情報の整合性チェック

こうして作業者の確認負荷を軽減する効果も期待できます。IT利活用のメリットを感じて頂けたでしょうか。

より実用的なIT利活用に向けて

今回デモを見て頂いたアプリは、OCRの活用(読み取ること)を主題としていたためにPDFファイル上の殆どの情報を読み取っていました。しかし、読み取る対象の文字をアルファベットと数字だけに限定すれば、読み取り精度は一層向上します。

具体的には、読み取り対象を「コード情報」「日付情報」「数量情報」に絞り込みます。そして、コード情報を基にマスタ登録された顧客情報や商品情報を照会して引用する形式へ持って行けば、データの信頼性は増す上に作業者の確認ポイントが減るので、業務改善効果は一層向上するでしょう。

また、今回のデモにおいて、読み取ったデータをCSVファイルへ書き出したのは、汎用的な形式で後続処理へ渡すためでした。勿論、受注処理に使用している業務アプリ(システム)へ直接データを渡すことができるのであれば、より実用的なIT利活用の形となるでしょう。

このように、IT利活用はステップアップして行くことで「より使い易く」「より高い効果が得られる」形に進化させることが可能です。

まずは簡単に試せる仕組みによって効果を実感し、具体的な目標を定めた上で本格的なIT導入を実施すれば、「使われないIT」といった事態に陥ることもなく、有益な経営投資となる結果に繋がるのではないでしょうか。

技術情報メモ

当アプリの作成に使用した機器やソフトウェアの情報を参考までに整理します。

  • シングルボードコンピュータの製品には、ラズベリーパイ(Raspberry Pi)を使用しています。ラズベリーパイはラズベリーパイ財団が開発する製品です。使用する際は本体に加えて、ケース、電源アダプタ、メモリカード(microSD)が必要になりますが、1台あたり1万円前後で揃えることができます。
  • アプリ画面や全体制御ロジックの開発に使用したプラットフォームは、Node-REDです。Node-REDはオープンソースソフトウェアです。
  • PDFファイルからテキストデータを取得する処理には、Popplerをラズベリーパイにインストールして使用しています。Popplerはフリーのプログラミングライブラリです。
  • PopplerでPDFファイルの処理を行うにあたり、Pythonスクリプトを作成して実行しています。Pythonはオープンソースなプログラミング言語です。
  • Windows PCからラズベリーパイ上のファイルを参照するにあたって、Sambaをラズベリーパイ側に使用しています。Sambaはフリーソフトウェアです。

この記事のまとめ

  • FAX情報から手作業で受注入力することは作業者の負担が大きい
  • 作業負荷軽減に向けて安価な機器を用いたOCR活用デモを実践した
  • IT利活用は使いながら「より良く」していくことが可能