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  • 安価な構成によるIoTデモを実践

  • 安価な構成によるIoTデモを実践
  • 公開2017/09/15  更新2022/06/23

  • IoT導入検討段階のトライアルでは、割り切った安価な構成で実施することも現実的な選択肢です。具体的なIoTデモを実践しました。

記事内容

前回のコラム記事では、IoT導入検討には事前の実証実験が重要であり、そのためには「割り切った安価なトライアル実施が現実的な選択肢である」として紹介しました。

そして、一例として「安価なIoTトライアル構成の例」(図)を、データを収集して蓄積し、蓄積したデータを基に分析する構成として提示していました。

今回は収集したデータをリアルタイムに可視化する仕組みとして、実際にデモが可能な環境を構築してみました。具体的には下図のような構成となりました。

SensorTagを利用したデータ可視化 IoTデモの構成図
『SensorTagを利用したデータ可視化 IoTデモの構成図』

図の構成要素の内、「PC」「Wi-Fiルータ」「インターネットに接続する環境」は既に保有していましたので、新たに用意したのは「SensorTag(センサータグ)[1]Raspberry Pi(ラズベリーパイ)[2]Bluemix(IBM Cloud:アイビーエム クラウド)[3]でした。追加分の費用については、\12,000も掛かっていないです。

  • 「SensorTag CC2650STK」 \4,000 弱(1個)
  • 「Raspberry Pi 3 Model B」 \8,000 弱(1セット)
    (注)本体の他に電源コード、microSDカード、ケース、ヒートシンクを含む
  • 「Bluemix(IBM Cloud)トライアル登録」 30日間無料

因みに、Raspberry PiはPCからネットワーク経由接続(Tera Term利用)で操作するので、周辺機器(ディスプレイ、キーボード、マウス)は用意しませんでした。

また、Bluemix(IBM Cloud)については、トライアル期間終了後に従量課金の「PAYG モデル」へ移行しましたが、無料枠の範囲内で運用できており、今のところ支払は発生していません。

費用の面はこの位にして構築作業へ話を移します。

前提作業としては「Raspberry Piをインターネットに接続できるようにする」ことと「Bluemix(IBM Cloud)アカウントを作成する」ことが必要になります。

そして、実際の環境構築作業に関しては「SensorTagのデータをRaspberry Pi経由でBluemix(IBM Cloud)へ送信する」といった主旨の技術資料をIBMが用意していましたので、資料の手順に沿って作業するとほんの数時間でデータ通信を確立することができました。

ただ、この状態ではデータが羅列されているだけですので、データを扱うにはアプリケーションを作成するのが一般的な流れになります。今回は、Webブラウザ上でデータを可視化するアプリケーションを作成しました。

SensorTagのデータ可視化例
『SensorTagのデータ可視化例』

アプリケーションの作成には「Node-RED(ノード・レッド)[4]というオープン・ソースのツール(ソフトウェア)を利用するのが便利です。

フローチャートを作成するようにノードを繋ぎ合わせて作成して行きます。簡単に済ませようと思えばノードを繋ぎ合わせるだけ(プログラムレス)で作成できますし、複雑な処理をさせたければJavaScriptで記述することもできます。

こうして、センサーデータをWebブラウザ上で可視化するデモを実現できました。

今回は環境構築についての話だけになってしまいましたが、実際にやってみて得られた知識は多岐に渡ります。

IoTを構成する通信技術である「MQTT」[5]や「BLE」[6]にも触れることができました。また、プログラミングに関しても目的(やりたい事)が具体的にあると、未経験だったPython、Node.js、JavaScriptといった言語でコーディングするようになっていました。言語学習が目的だったらこうは行かなかったでしょう。他にもセンサーの知識も必要でしたし、IoTは幅広い技術の組み合わせで実現されていることを改めて実感しました。

今回はデータ可視化のデモでしたが、この先はデータ分析も手掛けたいと考えています。その前に、より業務イメージに近いIoTデモを構築することも考えています。具体的な業務を意識して作成されたデータを蓄積することで、より有意義なデータ分析が行えると考えられます。具体的な形になりましたら改めてご紹介します。

補足(2017/12/28追記)

IBMクラウドサービスのブランド名称変更に伴い、記事内容を更新する機会がありました。

9月時点で公開したWebブラウザ上でデータを可視化するアプリケーションにつきましても、その後にブラッシュアップしておりますので、この機会に更新版の画面画像を追加でご紹介します。

また、別のコラム記事にて、異なるセンサー製品(ALPSセンサネットワークモジュール)の可視化画面を紹介した関係から、こちらについてもご紹介します。

SensorTagのデータ可視化例(更新版)
『SensorTagのデータ可視化例(更新版)』
センサネットワークモジュールのデータ可視化例(更新版)
『センサネットワークモジュールのデータ可視化例(更新版)』

この記事のまとめ

  • 安価なIoTデモ環境を構築した
  • 技術資料に沿って作業することにより短時間で構築できた
  • センサーデータをWebブラウザ上で可視化するデモを実現した
  • やってみて、IoTは幅広い技術の組み合わせで実現されていることを実感した