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  • 機械稼働監視向け可視化デモでIoT活用を実践

  • 機械稼働監視向け可視化デモでIoT活用を実践
  • 公開2018/11/30  更新2022/06/23

  • 町工場で加工機械の稼働監視にIoT活用を検討するニーズがあり、イメージ合わせの為にモニタリング画面による可視化デモを実践しました。

記事内容

話の経緯からご説明しますと、町工場で生産性を向上させる目的で加工機械の稼働実績を把握する手段としてIoT手法を検討するニーズがありました。対象となる作業工程を大まかにご説明すると次のような流れになります。

  1. 作業員が部材を加工機械にセットし、位置調整して機械を稼働させる
  2. 加工作業は無人で進み、作業終了すると機械は自動停止する
  3. 作業員は加工済の半製品を機械から取り外し、更に作業があれば1から繰り返す

ご覧の通り、1と3は有人作業になりますが2は無人作業です。この作業現場では作業員が複数の加工機械を担当しなければならず、1台の機械をずっと見ている訳には行かない為、2と3の間に作業員の対応待ち時間が発生しています。この点への改善効果を評価する目的から加工機械の稼働実績を正確に取得したいというニーズを持たれていました。

そしてIoT手法を検討される要因としては、対象となる加工機械が昭和の時代の製品である為にデジタル要素が無く、機械から直接データ収集することができない事情がありました。データ収集する手段として、人が入力する実績データではなく機械の外部にセンサーを取り付けてデータ収集するIoT手法に着目されたことになります。

加工機械(歯切り盤)のイメージ
『加工機械(歯切り盤)のイメージ』

まずはセンサーを用いることによって、どの様なデータが収集できるのかを実感して頂く目的で、以前のコラム記事でご紹介した「センサーデータ収集ツール」を用いて、出力したCSVファイルの結果からグラフ作成を行い、データを可視化して見て頂きました。

その結果から、加工機械の振動を加速度センサーで捉えることによって機械の稼働と停止の状態を判定して実績データとして利用できそうとの感触を持って頂きました。

今後は更に具体的に検討を進めて行く可能性がありますが、今回ご紹介したい主旨からは外れますので、この話はここまでにします。

こちらの企業様では現場改善方法の一案として、作業員が複数の機械の稼働状況を一覧で確認できるモニター画面の導入をお考えでした。今回、加速度センサーを活用して機械の稼働状況を捉えられることを示す上で、将来的なモニター画面をイメージしたデモもご用意しました。デモ画面をご紹介します。

稼働監視画面
『稼働監視画面』

デモ製作は「センサーデータ収集ツール」の仕組みにアドオンして画面を追加した形ですので暫定的な構成であり、今回限りのデモという位置付けになります。

画面では9台の機械の状況を表示する構成になっておりますが、今回のデモではセンサー等のハードウェアを用意する問題もあって1号機のみ動作します。作業に伴って画面表示がどの様に変化するのかを下図でご説明します。

状態表示の遷移について
『状態表示の遷移について』
  • 機械の状態を①~⑤のステータスで表示
  • 機械の稼働中は②の表示
  • (作業開始後に)機械が停止すると③の表示
  • 機械の停止後に一定時間(設定値)作業員が対応しないと④の表示
  • 作業員が対応しない間は④の表示が続く
  • 作業員が対応して作業再開(機械稼働)すると②の表示
  • 画面上の「通知リセット」ボタンを押下すると⑤の表示(もう作業が無い場合等)

また、最近のWebブラウザは音声読み上げ機能を持っています(ChromeとFirefoxで確認)。これを利用して次のように女性の声でアナウンスします。

  • ③の表示に切り替わるタイミングで「〇号機、作業を終了しました」
  • ④の表示が続く間、一定時間(設定値)毎に「〇号機停止後〇分〇秒経過」

このように実際に動作するデモを見て頂きました。今回は既に製作済のアプリを下地としていたので短期間で準備することができました。しかしながら、この先に企業様が具体的に検討することを望まれた場合は、企業様の現場環境に合わせて最適なハードウェアやネットワークを選択した上で仕組みを設計し直す必要があるでしょう。

今回のデモはあくまでも「切っ掛け」ということになります。それでもデモによって企業様では「やりたいこと」のイメージを更に膨らませて頂けるでしょうし、支援側でもニーズの確認と掘り起こしに繋がりますので一定のメリットはあったと考えております。

この件についての今後の対応は未定ですが、具体的な進展が生じて、もし内容をご紹介できるようであれば改めて取り上げたいと思います。

この記事のまとめ

  • IoT手法によって機械の稼働実績を把握するニーズを持った企業様を支援した
  • 加速度センサーを活用して機械の稼働/停止状態を可視化するデモを構築した
  • 実際に動作するデモを見て頂くことで具体的イメージの共有が行えた